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Visible/invisible Cities: Tokyo/Sydney/Melbourne

教養学部後期課程 戸張美紅

後期国際研修(東京)①
“Visible and Invisible City”をテーマに、宗教や文化、インフラなどの様々な角度から、東京という都市の「見える」面・「見えない」面について学びました。
 
充実したフィールドワークが、このプログラムの最大の特徴だと思います。インフラ面では首都圏外郭用水路や廃棄物埋め立て処分場、宗教・文化面ではイスラム教のモスクや韓国人コミュニティなどを訪れました。その中で、普段当たり前に感じている日々の生活が様々な人や物に支えられていること、また、窮屈な思いを抱えて暮らしている人たちの存在が日本ではあまり意識されていないことなどを、肌で感じながら学びました。オーストラリアの学生が日本について理解を深めるだけでなく、日本の学生にとっても、「日本」や「東京」の姿、多様性のあり方などをもう一度考え直すきっかけとなるプログラムでした。
 
そして特に印象に残ったのは、オーストラリアの学生と一緒にビデオを作成し発表したことです。6名程度のグループに分かれ、現在の東京を映し出す短いムービーを作成しました。グループワークを通して議論を交わしたり、授業後にも食事に出かけて交流したりと、短期間ながら非常に充実した一週間でした。

教養学部後期課程 大木滉平

シドニー研修写真1.jpg

 今回のオーストラリア研修のタイトルは、東京プログラムに続いて”Visible & Invisible of Cities”というものでした。一つの都市を「見える」ものと「見えない」ものの二つの側から眺めるこの視点は、実際にメルボルン・シドニー両都市での活動を通して一貫していたように思います。
 例えば研修で扱ったテーマの一つに、オーストラリアが持つ移民国家としての歴史がありました。元々は入植地だったオーストラリアが一つの国家として発展するその過程には、非白人系を含む多くの移民が加わり、軋轢や差別を生みつつも共存を続けてきた歴史があります。プログラム中には、資料館を訪れたり大学で講義を受けたりするなど、そうした問題を直接目に見える形で学ぶ機会が多くありました。
 その一方で、オーストラリアの都市が持つそうした側面はより‘Invisible’な形でも表れていたように思います。そうした例の一つに、中国系移民によるチャイナタウンがあります。研修の一環で私は現地の学生とメルボルンのチャイナタウンを訪れたのですが、そこは観光地としての中華街とは異なり、あくまで移民のためのコミュニティとして完結している印象を受けました。同行したその学生によれば、白豪主義の考えが一般的だった時代にこうしたコミュニティはその民族独自のアイデンティティを守る共同体として機能し、その役割を現在にまで残しているのだそうです。そしてとりわけ特徴的なのが、そうした独自性が社会の中で浮き出ることはなく、都市の纏まりが十分に保たれている点です。チャイナタウンに代表される移民共同体はそれぞれの特色を維持している一方で、同じ都市の中で、互いに大きな軋轢を生むことなく共存を続けています。その結果として、個々の共同体は都市の中で比較的「見えにくい」ものとなりますが、それは多彩な移民によって構成された都市に適した工夫であるようにも思います。そうした点で、今回のプログラムで眼にしたチャイナタウンの姿は、オーストラリアの都市が持つ、他の移民社会とも異なる‘Invisible’な側面であるように感じました。
シドニー研修写真2
 この他にも先住民との関わりやLGBTの問題、公共空間の設計など、プログラム中に議論された問題は多岐に渡りますが、そのどれにも共通していたのは、一見しただけでは分からない‘Invisible’な面から都市の姿を理解しようとする視点でした。そうした取り組みはプログラムの随所に現れていて、そこで得た経験は私自身にとって非常に貴重なものとなりました。
 最後になりますが、エリス先生をはじめ、このプログラムを企画運営していただいた先生方やスタッフの皆様に心よりお礼を申し上げます。