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「イタリア語・イタリア文化海外研修」報告 
吉村裕輝(文I・2年)

 2015年8月、私を含めた東京大学の学生16名はイタリアへと向かった。私たちは、教養学部で開講された主題科目、「国際研修」のイタリア語イタリア文化海外研修に参加した。私がこれに加わりたいと思った理由は二つある。まず、第二外国語として選択したイタリア語が、一年半の勉強を通じてどれほど使いこなせるようになったのか、知りたかった。そして、自分が未だかつて海外へ渡ったことが無いことに妙な焦りを覚え、どこか外国へ、できれば言葉が片言なりとも通じる国へ行くことに憧れを抱いていた。
 イタリアでは、言語を学ぶのみならず、他の文化を直接体験することで、自らの視野をより広く、より国際的なものとすることができた。このような機会が得られたことに感謝しつつ、現地で学習していて感じたことや、現地で訪れた様々な場所について報告する。
 イタリアは全体で三つの部分に分けられている。北部、中部、南部である。そして中部といわれる各州のうち、中央に位置するのがウンブリア州であり、その州都が、今回私たちが生活したペルージャである。
 私たちは一か月の間、ペルージャ外国人大学(写真)へ通った。入学者は授業を受け始める前にテストを受け、その結果によって6つのクラスに分けられる。私の場合、上から三番目のクラス、B2に相当すると認められた。もっとも、本来は筆記と口頭の二本立てのはずのテストが筆記のみしかなく、後で考えるとずいぶん大雑把な分け方だったのではないかと思う。
 授業は文法、演習、リスニング、イタリア文化学習の4つに分かれている。このうち演習の授業に関して、私は大変苦労した。演習の授業は毎回先生があるテーマを定め、それについて学生と、もしくは学生間で、討論する形で行われた。この授業で印象的だったのは、皆が(特にヨーロッパ出身の学生が)明確な根拠にもとづいて自分の意見を主張していたことであった。彼らは幼いころから積極的にそのように振る舞うよう、学校などで教育を受けて育っている、と聞いてはいたが、実際に対話してみると彼らの勢いに呑まれ、十分に議論することができなかった。最も悔しかったのは、原子力について話し合ったときである。私は広島出身であり、被爆地出身の者として、また原発事故の当事国の国民として、議論に積極的に参加すべきだという責任感を持っていたので、先生や他の学生に対して努めて意見を述べ、議論をしようとした。しかし、数分もたたぬ間に言葉に詰まりがちになり、結局は「Si.(その通り。)」を繰り返すだけとなってしまった。
 今となっては、思うように意見を発信する練習を日本で積んでいれば、と強く後悔する。また、日本での学習のときは、文法を必死になって憶える一方、語彙を増やすことについては後回しにしがちであった。渡航前に一通り、単語集にでも目を通しておけばよかった、とも思う。  さて、現地に行って言語を学ぶということは、大変愉快で興味深いことである。スーパーに行けば、名詞が自分の知っている数倍は覚えられるし、先生や友人、町の人々と話すのは動詞を次々と活用させる絶好の練習機会である。教会の壁に書かれている言葉からは、現代イタリア語へと連なる数百年の言葉の歴史を目の当たりにできるし、サッカー場では日本にあるどのテキストにも載っていない俗語parolacceが飛び交っている。そのように現地で五感を使い「採集」した言葉は、なかなか頭から離れてゆかないものだ。友人と話していて言いたいことが上手く伝わらなかったとき、良くその意を捉えた表現を探し、再び会ったときに使ってみて、相手に笑顔が浮かんだときは本当にうれしかった。逆に、意気揚々とイタリア語で話しかけたにもかかわらず、途中から会話についていけなくなり、結局英語でコミュニケーションする羽目になったときは、たいへん悔しい思いをした。
 週末にはペルージア市街、そしてその周辺の様々な場所へ出かけた。ペルージャの歴史は古く、大学の建物のすぐ真横で紀元前3世紀にエトルリア人が建設した巨大な門が威容を誇っている。旧市街には荘厳な教会が数多く残っており、それらを目当てにやってくる観光客も多い。巡礼の聖地として名高いアッシジには、外国人大学側が用意してくれたツアーで行くことができた。私にとって最も思い出深いのは、ペルージャの西にあるトラジメーノ湖(写真)である。様々な事情で一人旅(といっても日帰りだが)をすることになり、数多くのスリリングな体験を経て、自分が少し成長したかな、という実感を持った。紙幅の関係で多くを記せないのが残念である。
 最後に、この研修を準備して下さった村松先生、日向先生、澤柳先生、ペルージャ外国人大学のFarinelli先生、そして費用を援助してくれた両親と、この研修を何倍にも楽しくしてくれた日本とイタリア双方の友人たちに感謝の意を表しつつ、筆を置く。

イタリア吉村さん

イタリア吉村さん2