国際体験報告2016

Sセメスター

東京

Tokyo: Representation and Reality
東京2016
履修生Aさん:日本語を知らない学生が一番多くのことを学んだと思います。というのも、日本文化をほとんどまったく知 らなかったからです。様々な講義や東京大学の学生との交流のおかげで、私たちは徐々に東京の仕組みを理解していくことができました。ぼんやりとしたものですが、東京の輪郭が段々と見えてきたのです。

履修生Bさん:プリンストン大学と東京大学の学生が互いの学校について何を思っているのかを知ることは、とても啓発的でし た。プリンストン大学の学生として、私は東京大学の学生たちが営んでいる、大都会での大学生活に特別な 関心をもちました。

履修生Cさん:TAがとても協力的でした。また、TAのみならず、多彩な国際的背景をもつ学生たちが有している異なる視点を垣間見られたことが、非常に興味深かったです。講義やフィールドワーク、自由時間におけるTA、先生たち、及び学生の間での気軽な会話のおかげで、私はこのプログラムで素晴らしい経験を得ることができました。
中国
深思北京  2016年度中国語上級・北京研修報告集
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南京サマースクール
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ドイツ
EUの現状と課題
(理II・1年)

ヨーロッパサマーアカデミーに参加して身についた知識は多く、とても貴重な経験でした。その中で最も勉強になったのは、欧州連合のメリットを欧州連合の市民に説得させるのがもの凄く難しいということです。アカデミーのある講師が講義で言ったように、ヨーロッパ各国の国家主義や自民族主義的な思考の増加が、欧州統合に危険をもたらしています。ヨーロッパとは全く違う日本出身の私は、欧州連合の国民が簡単に周辺諸国に訪れられること、他国で就職ができること、関税なしで製品を輸出輸入ができることを、ずっとうらやましく思っていました。しかしEUの市民は、なぜか欧州連合が国の税金を無駄にして、問題ばかり起こしているような、権威主義的な存在だと思っているそうです。欧州連合についてフランス人の友達に聞いたら、「EUくたばれ、フランス万歳!」と言われました。このレポートを書いている今にでも、ワルシャワでEU反対のデモが行われています。高校の同級生(私はポーランドの高校に通っていた)は、「EUはいらないよ、EUを支援しているのは政治家と経済学者だけだ、私たちはそいつらを信頼できない」と言います。東京に滞在している私でも、欧州市民の欧州連合に関する敵意を痛切に感じます。若者や大衆は、欧州統合を信用しなくなっています。セミナーハウスで受けた授業などでは、欧州連合がこのような国家主義的なトレンドをもの凄く危険に思っていて、対策を真剣に考えていることを学べました。私が思うには、教育がもっとも大事です。最近の若い人は基礎的な知識が不足しているため、EUの経済的なメリットを理解していません。ですので、まずは若者に欧州連合が及ぼす経済的な効果を教えるべきだと思います。市民がこのような経済的なメリットを司会したら、きっとより多くの人が賛成すると思います。
EU2016_01グループワークの様子
EU2016_02集合写真
ボン・ドイツ語サマースクール
ドイツ2016集合写真
(小島 佑介 理II・1年)

今回の研修における最大の目的はドイツ語能力の向上であったので、午前中のドイツ語の授業はとても楽しみにしていたが、それと同時にドイツ語で受けるドイツ語の授業というものに若干の不安も抱いていた。それでもいざ始まってみると、先生がなるべく簡単なドイツ語で話してくれたこともあってか、それなりにドイツ語を聞き取ることができ、多少はリスニング能力も向上したように思う。授業の内容は期待以上のもので、まだ文法としては習っていないものの日常的に使われる表現をいろいろ学ぶことができたほか、授業中に先生が身のまわりのもので目ぼしいものを見つけては、それに対応するドイツ語単語を教えてくれたり、逆に学生側からこれはドイツ語ではなんというのかと尋ねたりすることで、より実用的なドイツ語を身に着けることができたように思う。さらに、実際にドイツのスーパーマーケットに行ってみるというような授業も、日本ではできないような体験で、とても貴重なものであった。また、一つ印象的だったのが“guck”という単語で、辞書で調べると「グック」という発音になっているにもかかわらず、実際の発音は「クック」であることを授業で教わり、実際に街中で子供が母親に“Guck mal!”「クックマル」と叫んでいるのをしばしば耳にした。これもまた、日本で辞書を眺めているだけではできない経験であり、ドイツに来てよかったと感じた瞬間であった。今回のドイツ語の授業はより進んだ内容というよりは前学期の復習を兼ねたものであり、ドイツ語の能力に特段の向上が見られたかといわれるとまだまだ自分でも納得のいかない部分が多かったのも確かだが、おそらく今後のドイツ語学習には多大な影響があるのではないかと思う。

Aセメスター

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ハンガリー
In the Pursuit of Culture, History and Architecture in Central Europe, Hungary
ハンガリー2016
(文I・1年)

私たちにはハンガリーの学生たちとプログラムを楽しむ機会がたくさんあり、そこでの経験が私を幾つかの点で成長させてくれた。もちろん、講義からもたくさんのことを学んだが、私は彼らから直接、あるいは間接的に、それ以上のものを学んだのだと思っている。

彼らとの交流によって、本当のハンガリーを理解できた。日本と比べると、類似点も相違点もあった。ハンガリー人の学生たちはフレンドリーだし、まじめだし、少しシャイだった。私にとって、彼らはアメリカ人というより、日本人に近いのだ。日本人とハンガリー人は子供時代の過ごし方にある程度共通点がある。それは、日本のアニメを見たり、日本の漫画を読んだりすることである。日本の文化は意外と大きな影響を及ぼしているようだ。これは日本の文化を改めて見直す良い機会であった。もっとも大きな違いは、ハンガリーは他の国と多く触れ合っているということだと思う。移民問題は、彼らにとって相当大きな問題なのだと、講義中の活発な議論から感じた。私は新しい視点を手に入れ、その問題をもっと身近に考えることができるようになった。それが私が今、移民問題に興味があり、エッセイで議論している理由である。移民を受け入れることは、人口減少の良い解決策なのかどうかという議論がずっとあったのにもかかわらず、私はかつて移民問題に関心がなかった。

今回の留学で異なる文化圏からくる人たちとの交流の楽しみを実感している。自分の英語力が足りないことは、向こうの友達と交流するにはそんなに大きな問題ではなかったと感じた。初めて英語が母語話者でない人と話した。世界には、英語がネイティブでない人の割合は英語のネイティブより多く、国際交流は実際はこういう感じなのだろう。
私はもっと他人からどのように見えるかについて注意を払う必要があると感じた。日本人と話すときは、自分が言っていることについてしか考えないが、他の国の人と話すときは、話し方、そして背景も大事にするべきだと思う。発せられる言葉よりほかの情報もかなり役に立っている。本気でコミュニケーションをしようと思えば、そんなに難しいことではない。逆に、外国人と話すことに対する自信をさらに手に入れた。これからも、英語力を伸ばしていくつもりだ。

私は、努力家の学生たちから、もっと勉強しようというモチベーションを得た。私は一部の生徒たちはプレゼンの準備を事前にしていたことに感銘を受けた。ある生徒たちが私に見せてくれた、日本語の勉強のためのノートも私を感激させた。あらゆる生徒たちが、異なる文化について、学び、理解することに大変意欲があった。もっと努力しもっと活動的になる必要があると感じた。彼らと将来の夢について話す機会があって、そのおかげで日本に戻った後も、自分を成長させるやる気をもらっている。

オーストラリア

UTokyo/ANU Exchange
オーストラリア2016
Student Reports

Throughout the course, I enjoyed a lot, felt a lot, and learned a lot. I not only gained knowledge of Australia, but also gained new perspectives on the Australian way of life. Of course after listening to many lectures on Australia with the program I was able to understand better about Australian nature and culture, however, it was even more meaningful for me to learn about different ways of thinking by passing time with ANU students. (Science II, 2nd year)

During the session in Japan, we learned about Japanese culture, especially in regards to Mt. Fuji. I realized that I didn’t know much about Japan. […] I felt embarrassed. I realized that as a Japanese person, I need to learn more about Japan. […] In Australia, we learned about the changing environmental situation from many perspectives, such as the arts, nature and culture. The most interesting topic for me was biodiversity. I knew that people had a responsibility to maintain biodiversity, but I didn’t know why. The lecture made me rethink nature, and presented me with new questions which had never occurred to me. (Science I, 1st year)

In order to build an internationally successful career, I have to master English. I have to expand my vocabulary, be able to understand what native speakers say and clearly express my own thoughts. At the same time, I don't think I have to worry too much because I realized on this trip that native speakers of English don't care about a non-native's speaker’s fluency. They are just interested in what he or she has to say. This is the type of thing that I learned through this course, and that I don’t think I would have learned if I had stayed in Japan. (Science I, 1st year)

I admire the attitude of ANU students toward lectures. They are highly motivated to acquire new knowledge. They ask many questions during lectures. They are so serious when they prepare for presentations that they keep discussing in their futons at night. […] Japanese students tend to think that professors give lectures and that students are like customers, just listening to whatever is being said. During this program I learned that students go to university to learn. I want to incorporate this positive learning style into my studies next semester. I hope the motivation that I gained through this program will last forever, or at least until the end of next semester. (Science I, 1st year)

中国

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韓国

韓国語ウィンタースクール
(江島 徳政 文3・2年)

「BeST」の思い出
 
2月に北京大学とソウル大学、東京大学の共催のプログラム、「BeST」に参加しました。「BeST」という名前は、北京(Bejing)とソウル(Seoul)、東京(Tokyo)という三つの地名を合わせて作られたものです。今回の協議会は三週間でした。最初の二週間は参加学生が全員ソウル大学で勉強して、そしてその後、ソウル大学と東京大学の学生が一緒に残りの1週間を東京で過ごしました。東京大学の学生はみんな、ソウル大学と北京大学の学生の英語力に驚きました。私たちは一所懸命に、限られた英語力で他大学の学生と英語でコミュニケーションをとろうとしていました。また、東京大学の学生の数人がソウル大学の学生と韓国語で話していました。
 
ソウルで過ごした日々はとても楽しかったです。ソウル大学の学生と一緒に朴大統領の辞職のデモに参加しました。デモに参加していたほかの人の情熱に驚きました。また、中国で政治運動が禁じられているため、中国人学生がデモに関する反応を見るのが面白かったです。北朝鮮と韓国の間にある休戦地帯(DMZ)に行った時、「韓国民族」の戦争の悲劇と悲哀を感じました。北と南に別れている家族が朝鮮戦争のときからまだ残っていると聞きました。家族や友人の殺し合いについて、想像できないほどの苦しみを感じました。私は朝鮮半島の平和を心から願っています。そして、日韓関係に大きな影響をあたえた「従軍慰安婦像」を見に行きました。私はわずかな知識しかないから状況の真実がわからないのですが、無謀な戦争の犠牲者はいつも罪のない人々なのだと苦しく感じました。三国が様々なトピックについて話し合いました。食事、服、家、音楽などの文化的な違いが多くありました。そして第二次世界大戦中に大日本帝国と戦った「金九」という韓国独立運動活動家・リーダーについても話しました。さらに日本と中国と韓国の領土問題を論じ合いました。各国の学生と直接話し合えたことはとても貴重でした。
 
私はこのプロジェクト中で、自分の将来とキャリアを考えさせられました。その影響で4月から日本史を専攻することにしました。高校時代から習った歴史は皆を仲良くすることに役に立ちました。韓国の学生と「世宗」や「李舜臣」について楽しく語って、中国の学生と「三国志」や「紅楼夢」について話すことも楽しかったです。お互いの歴史を話し合うのは礼儀を表す一つの方法です。そしてお互いの歴史を理解し合うのはお互いの信頼の根拠だと気づきました。これからUTで、日本史を専攻として勉強していくことに誇りを持つようになりました。先の行動と将来にしたいことについて自信を得られたのは有意義でした。
 
SNUとBUの学生たちと時間を過ごすのは本当に楽しかったです。様々な新しいことを学びましたが、一番大事なのは非常にシンプルでした。つまり一番大事なのは「酒と美術と愛が国境を超える!」ということです。美味しいい食べ物を食べるとか愛について話すとか素敵な音楽や美術を楽しむことで人は仲良くできるのです。日本語では「はし」という言葉が二つの意味を持っています。一つめは「橋」であり、二つめは「箸」です。日本と中国と韓国の間に色んな違いがあるにも関わらず、食べる時、我々「東アジア人」は同じ「箸」を使う文化があります。これから私たちはこの「箸」のような賢明な知恵を共有し、三国間の様々な争いを超える「橋」になるべきだと思います。
韓国2016_01
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オーストラリア・東京

Visible/invisible Cities: Tokyo/Sydney/Melbourne

教養学部後期課程 戸張美紅

オーストラリア・東京2016_01
“Visible and Invisible City”をテーマに、宗教や文化、インフラなどの様々な角度から、東京という都市の「見える」面・「見えない」面について学びました。

充実したフィールドワークが、このプログラムの最大の特徴だと思います。インフラ面では首都圏外郭用水路や廃棄物埋め立て処分場、宗教・文化面ではイスラム教のモスクや韓国人コミュニティなどを訪れました。その中で、普段当たり前に感じている日々の生活が様々な人や物に支えられていること、また、窮屈な思いを抱えて暮らしている人たちの存在が日本ではあまり意識されていないことなどを、肌で感じながら学びました。オーストラリアの学生が日本について理解を深めるだけでなく、日本の学生にとっても、「日本」や「東京」の姿、多様性のあり方などをもう一度考え直すきっかけとなるプログラムでした。

そして特に印象に残ったのは、オーストラリアの学生と一緒にビデオを作成し発表したことです。6名程度のグループに分かれ、現在の東京を映し出す短いムービーを作成しました。グループワークを通して議論を交わしたり、授業後にも食事に出かけて交流したりと、短期間ながら非常に充実した一週間でした。

教養学部後期課程 大木滉平

オーストラリア・東京2016_02
今回のオーストラリア研修のタイトルは、東京プログラムに続いて”Visible & Invisible of Cities”というものでした。一つの都市を「見える」ものと「見えない」ものの二つの側から眺めるこの視点は、実際にメルボルン・シドニー両都市での活動を通して一貫していたように思います。

例えば研修で扱ったテーマの一つに、オーストラリアが持つ移民国家としての歴史がありました。元々は入植地だったオーストラリアが一つの国家として発展するその過程には、非白人系を含む多くの移民が加わり、軋轢や差別を生みつつも共存を続けてきた歴史があります。プログラム中には、資料館を訪れたり大学で講義を受けたりするなど、そうした問題を直接目に見える形で学ぶ機会が多くありました。

その一方で、オーストラリアの都市が持つそうした側面はより‘Invisible’な形でも表れていたように思います。そうした例の一つに、中国系移民によるチャイナタウンがあります。研修の一環で私は現地の学生とメルボルンのチャイナタウンを訪れたのですが、そこは観光地としての中華街とは異なり、あくまで移民のためのコミュニティとして完結している印象を受けました。同行したその学生によれば、白豪主義の考えが一般的だった時代にこうしたコミュニティはその民族独自のアイデンティティを守る共同体として機能し、その役割を現在にまで残しているのだそうです。そしてとりわけ特徴的なのが、そうした独自性が社会の中で浮き出ることはなく、都市の纏まりが十分に保たれている点です。チャイナタウンに代表される移民共同体はそれぞれの特色を維持している一方で、同じ都市の中で、互いに大きな軋轢を生むことなく共存を続けています。その結果として、個々の共同体は都市の中で比較的「見えにくい」ものとなりますが、それは多彩な移民によって構成された都市に適した工夫であるようにも思います。そうした点で、今回のプログラムで眼にしたチャイナタウンの姿は、オーストラリアの都市が持つ、他の移民社会とも異なる‘Invisible’な側面であるように感じました。
オーストラリア・東京2016_03
この他にも先住民との関わりやLGBTの問題、公共空間の設計など、プログラム中に議論された問題は多岐に渡りますが、そのどれにも共通していたのは、一見しただけでは分からない‘Invisible’な面から都市の姿を理解しようとする視点でした。そうした取り組みはプログラムの随所に現れていて、そこで得た経験は私自身にとって非常に貴重なものとなりました。

最後になりますが、エリス先生をはじめ、このプログラムを企画運営していただいた先生方やスタッフの皆様に心よりお礼を申し上げます。